独居高齢者と夫婦高齢者:病気の割合の違いとその背景
日本の高齢化社会において、独居高齢者の増加が大きな課題となっています。独居高齢者は夫婦で生活する高齢者に比べて、病気にかかる割合が高いと多くの研究で示されています。この記事では、その背景や理由について詳しく探っていきます。
独居高齢者に多い不安と健康のリスク
一般的に独居高齢者に多いとされている不安リスクや健康リスクをあげてみます。
孤独感と精神的健康
独居高齢者は孤独感や社会的孤立を感じやすく、これが精神的な健康に大きな影響を与えます。特に、うつ病や不安障害のリスクが高くなります。ある調査では、独居高齢者のうつ病の発症率は夫婦高齢者に比べて約1.5倍高いことが報告されています。
心血管疾患のリスク
独居高齢者は心血管疾患(心臓病や高血圧)のリスクも高いです。孤独感がストレスを引き起こし、これが血圧の上昇や心拍数の増加に繋がるためです。実際、独居高齢者の心血管疾患の発症率は夫婦高齢者よりも20%以上高いというデータもあります。
認知症の発症率
独居高齢者は、認知症の発症リスクも高いです。日常的な会話や社会的交流が少ないことが、認知機能の低下を促進するためです。研究によれば、独居高齢者の認知症発症率は夫婦高齢者の約1.3倍に上るとされています。
栄養不足と健康問題
独居高齢者は食事の準備が困難な場合が多く、栄養バランスが崩れやすいです。不規則な食生活や偏った食事が原因で、栄養失調やそれに伴う健康問題(例えば、骨粗しょう症や貧血)が発生しやすくなります。
夫婦高齢者の比較的低い健康リスク
相互サポート
夫婦高齢者はお互いにサポートし合うことで、健康リスクを分散させることができます。日常の会話や共同の活動が、精神的な健康や認知機能の維持に寄与します。また、健康状態の変化を早期に察知しやすく、適切な対応を取ることができます。
精神的安定
夫婦で暮らすことで、孤独感が軽減され、精神的な安定が得られやすくなります。これにより、うつ病や不安障害の発症リスクも低減されます。
健康管理の共有
夫婦での生活は、健康管理を共同で行うことができ、食事や運動などの日常生活における健康維持が比較的容易です。例えば、一緒に食事をすることで栄養バランスが取りやすくなり、一緒に運動することで運動不足を防ぐことができます。
まとめ
独居高齢者は夫婦高齢者に比べて、病気にかかる割合が高いことが多くの研究で示されています。その主な理由は、孤独感や社会的孤立、健康管理の難しさにあります。一方、夫婦高齢者はお互いにサポートし合うことで、これらのリスクを軽減しています。
独居高齢者の健康リスクを減らすための、社会的サポートの充実やテクノロジーの活用、訪問サポートサービスなどが増えてきているものの、上記の不安を払拭できるものではありません。
都心部ではとくに、隣近所や地域で支え合う日々の交流が少ない傾向にあるため、生涯独身を堅く望んでいるのでなければ、老後や将来の健康のために人生のパートナーを大切に考えてみるのも良いのかもしれません。