元気女性特有の乳がんや子宮癌といった病気は、早期発見が重要です。でも、普段、仕事が忙しい、検診がちょっと怖い、私は健康だから大丈夫、うちの家系には癌の人はいないから問題ないだろう等の気持ちで、これらのがん検診を行ったことがない人、以前やったけどしばらく行ってない人が意外と多いのですが、さらに、婚活中の方は、もしも病気が見つかり手術になったら、結婚前なのに身体に手術痕がつくのは嫌だなと考え、検診を躊躇してしまう人がいます。
しかし、癌はとくに早期発見が重要なものであり、自己判断による過信は本当に危険です。ではなぜ、検診を先延ばしにしてしまったのか等についてお話します。
英国の歌手サラ・ハーディングさん検診先送りで死去
イギリスの女性ポップグループ、ガールズ・アラウド(Girls Aloud)のメンバーで、歌手、女優のサラ・ハーディングさんが2021年9月5日の朝、乳がんにより39歳という若さで死去されました。このニュースは世界中に配信されました。
サラ・ハーディングさんは今年3月の自伝で、19年12月に腕の下にしこりを見つけたものの、そのすぐ後にコロナ禍に入り、医師に詳しい検診を受けるよう勧められていましたが「コロナウイルスが流行し、すべてがスローモーションになり停止した。なんとかしなければならないと思ったが、そうした状況では難しかった。」と、がん検診を先送りしたため、発見が遅れてしまったことを明らかにしていました。
もっと早く詳細な検診を受け、早期に治療を施していれば、死去されることはなかったかもしれないと悔やまれています。
しこりが見つかったが体に手術痕が残るのが嫌だった女性
病気は婚活であるないに関わらず起こるものです。婚活だからと病気の進行をストップできません。
以前、婚活イベントへやってきた方の話です。
30代前半女性がふと、先日、検診で脇と胸の間に1cmのしこりが見つかり、脇から1.5cm程メスを入れてしこりを取り出す手術をどうかと言われたが、結婚前に体に手術痕が残るのが嫌だから手術はしないことにしたんです。という話とともに乳がん治療についてのいろいろな質問をされた。というのも、私が乳がん経験者だからだ。
私はその話を聞いてすぐに、1.5cmの手術痕で済むのなら、早くしたほうがいい!とすすめました。
なぜなら、私も最初は進行の早い癌ではないと言われていたが、手術をして癌を取り出したら、進行の早い癌に急速に変化していたと術後に言われ、肝を冷やした経験があるからだ。さらに私は、数十センチの手術痕、長いリハビリや抗がん剤治療など、痛みや時間を要した。おかげで、今はとても元気です。
そんな彼女からしばらくして、ふと、連絡がありました。あの後、手術を勧められるのが嫌で、検診へも行かずに過ごしていたけれど、胸のしこりがどんどん肥大してくるのが自分でもわかり、そのうちに、痛みが出てきたため病院へ行くと、癌は肥大しただけではなく、転移も見られ、結局、抗がん剤治療と片側の胸全てとリンパを切除する大手術となってしまったとのことでした。あの時、手術していれば1.5cmの傷で済んだのにと、話す彼女。
私は、若い人の癌進行が早いということは知ってはいたものの、こんなに早いものかと驚きました。
年間6万人以上が乳がんと診断されている
日本で乳がんになる女性は年間6万人以上。約14人に1人がが乳がんと診断されています。 また、乳がんで死亡する女性の割合は年々増加の傾向にあります。年間約1万3,000人が亡くなっており、これは乳がんを発症した人の30%程度にあたります。
若い年齢では乳がんの早期発見が難しく、病状が進んだ状態で診断されることが多くなるため、発見した時にはもう治療が難しい場合も多いのです。それを防ぐためにも、早期発見は大切なことです。そのためにも30歳台からの検査は有効です。
ちなみに、
- 日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男女ともにおよそ2人に1人(参照:全国がん登録罹患データ2018年)
男性 65.0%
女性 50.2% - 日本人ががんで死亡する確率は(参照:人口動態統計がん死亡データ2019年)
男性 26.7%(4人に1人)
女性 17.8%(6人に1人) - 2009~2011年にがんと診断された人の5年相対生存率は男女計で64.1 %(男性62.0 %、女性66.9 %)
これだけ多くの人が癌になっているのです。自分は例外と思わずに、もしもの時のための備えを考えておくほうが安心なのです。
自己判断は危険
乳がんはよく、セルフチェックやしこりの有無確認でわかると思われているかもしれませんが、実はなかなか難しいです。ましてや、早期発見が大事と言われていますが、その、早期のサイズを見つけるのはセルフチェックではかなり難しいと思います。自己判断で大丈夫とするには危険です。
婚活中やコロナ禍でもおかしいと思ったら検診を
病気も検診も手術も気分の良いものではありません。
ましてや、手術なんて怖いと思う人がほとんどですし、女性であれば、身体に傷がつくことは嫌でしょう。
それに、コロナ禍では余計に病院を躊躇してしまうと思います。
しかし、サラ・ハーディングさんのように、先送りにして命を落としてしまうような状態になっては大変なことです。
サラ・ハーディングさんも婚活イベントに来た彼女も小さなしこりがあったにも関わらず、検診を先送り、躊躇してしまったことが大事につながっています。
これを防ぐためにも、何か体の異常を感じたり、病院からすでに検査等を勧められているのであれば、婚活中だからとか、コロナだからとか、仕事で忙しい等を理由に、検診などを先延ばしにしないことです。
癌になったら、もう仕事ができない、結婚ができない、というわけではありません。今や癌は必ず死を意味する病気ではありません。適切な治療や手術により、普通の生活に戻れるケースが多いです。ただ、それにも、早期発見、早期治療が有効です。